車好きが自分の車を手に入れて
何か手を入れたいなぁ、と思ったとき
まず最初に
排気音をカッコよくしたいなぁ!
と思うかた、多いのではないでしょうか。
わたし、最初はそれほど
排気音には興味がなかったんです。
実際、初めて乗ったCR-Xの時は、
足回りは変更しましたが、
マフラーはノーマルのままでした。
でも、FTOに乗り換えたら
とても排気音が綺麗で!
それこそ、排気音だけに限れば
初代NSXのエンジンに
匹敵するんじゃないかと思っています。
さらに、わたしのFTOは…
NAKAYA-TUNEモデルという
限定車なんです。
そのマフラーが、わたしの好みである
・音量は普通
・音質は甲高い感じ
の両方を満たしていました。
それまでは、マフラーを変更すると
ボボボボボ! ズゴゴゴゴ!
といった、野太い大きな音に
変わる印象がありました。
でも、実際はそうではなかった。
色んなタイプがあるんだ!
もしかしたら、さらに排気系を改良すれば
それはもう理想的な、甲高くて
カッコいい音になるんじゃないの?!
と期待が膨らみました。
当時、この音が良い!と思ったのは
フェラーリのV8エンジン。
F355や…
360モデナ時代のV8エンジンは
フェラーリサウンドのピークだったんじゃ
ないかと思っています。
バイクよりも甲高い、叫ぶような咆哮。
今までに何度か、走行音を
生で聞いたことがありますが、
それはもう、鳥肌が立ちました。
全く同じにはならないかもしれないけど
目指す目標はこれだ!と思って
それから、数年かけて
いろいろとやってみました。
マフラーは4本試しましたし、
その結果出来上がった
今装着している排気系には
とても満足しています。
性能にも満足していますし、
購入当時と同じくらいの音量で、
購入当時より、更に甲高い音質に
なったことにも満足です。
でも、360モデナの音には
なりませんでした…。
そりゃあそうだ。
FTOのエンジンは、V6。
360モデナのエンジンは、V8。
2気筒足らないもの。
…というのも、理由の一つなんですが
いろいろ調べてみた結果、
決定的な理由は、どうやら
他にもあるようなんです。
だってほら、V8エンジンって
色んなメーカーが作っているでしょう?
トヨタ・日産・三菱・ベンツ・BMW・
フォルクスワーゲングループ・
GM・フォード・クライスラー・
アストンマーティン・ジャガー…
沢山のメーカーが
V8エンジンを持ってます。
でも、フェラーリのような音がする
V8エンジンは、他にありません。
フェラーリエンジン、
一体、何が特別なの…?
実は、違うのは「点火順」なんです。
点火順というのは、エンジンのシリンダーに
火をつけて、爆発させる順番です。
そして、点火順=排気順、ともいえます。
だから、点火順は排気音に
大きく関わってくるんです。
フェラーリのV8エンジンは…
という点火順です。
数字の順番で、各シリンダーを
点火していきます。
奇数を赤、偶数を青に塗り分けてみたら
一目瞭然で、左右の列を交互に
行き来していることがわかります。
排気管は、右列の4本が1つに
左列の4本が1つに
それぞれまとまるんですが、
左右で交互に点火されるため、
干渉することなくスムーズに
勢い良く排気されていきます。
だから、クリアに澄んだ音がします。
という点火順でエンジンを回します。
フェラーリのように、左右を交互に
行き来するのではなく、同じ列が
連続して点火される箇所があります。
3-4と、7-8の2箇所です。
ここで排気ガス同士の干渉が起きて、
スムーズに排気されなくなることで
ドロドロと、泡立ったような音が出るんです。
じゃあ何で、他メーカーは
そんな点火順にしているのかというと。
実は、左右交互にならない点火順だと
発生した振動を打ち消しながら
エンジンを回せるからなんです。
フェラーリ式の、左右交互に点火する
実は、左右交互にならない点火順だと
発生した振動を打ち消しながら
エンジンを回せるからなんです。
フェラーリ式の、左右交互に点火する
方法だと、パワーと音は綺麗に出ますが、
エンジン自体の振動が
大きくなってしまうんです。
V8エンジンといったら、通常
1,000万円超級の高級セダンに
詰まれるエンジンです。
高級セダンは、出来る限り静かに
スムーズに走らなくちゃなりません。
だから、エンジン自体の振動が大きい
なんて、もってのほかなんですね。
振動が少ないエンジンさえ作れば、
排気のドロドロ音は、マフラーの容量を
大きくしたり、遮音材を厚く沢山貼れば
聞こえなくすることができますから。
…そんな理由から、他メーカーは
フェラーリとは違う方法論で
V8エンジンを作っているんです。
逆に言うとフェラーリは、
振動なんか二の次にして
パワーと音の良さを取っても
購入する人が納得してくれる、
稀有なメーカーなんです。
マクラーレンも、フェラーリと
同じ方式で、V8エンジンを作ってます。
でも、マクラーレンは
ターボエンジンなんですよね。
タービンを付ける関係で
排気管が短かったり、回転数が
自然吸気エンジンに比べると
低かったりで、360モデナほどの
快音ではないようです。
それじゃあ他メーカーのV8エンジン、
購入後に点火順を変更すれば
フェラーリになるんじゃないの?!
…と思いきや、それは完全に
現実的ではなかったりします。
点火順って、クランクシャフトの
形状で決まっているんです。
フェラーリのような、パワー優先の場合は
フラットプレーンと呼ばれるタイプの
クランクシャフトが使われます。
一般的な、振動の抑制を優先する場合は
クロスプレーンクランクが使われます。
フェラーリのような、パワー優先の場合は
フラットプレーンと呼ばれるタイプの
クランクシャフトが使われます。
一般的な、振動の抑制を優先する場合は
クロスプレーンクランクが使われます。
だから、点火順を変えるとしたら
クランクシャフトをワンオフで
制作しないとならない。
そして、クランクシャフトに合わせて
ピストンもコンロッドも新調しないと。
さらに、コンピュータの制御ロジックも
書き換えなくちゃならない。
というより、そもそも点火順は
エンジン設計の根幹に関わる部分。
あとからどうこう出来るものでは
なかったりします。
多分、フェラーリの中古エンジンを
見つけてきて、コンピュータごと
無理やり突っ込んだ方が
結果的には、手間も費用も省けて
まだ現実的、かも。
やっぱりフェラーリの音は、
フェラーリからしか産まれないんですね。
そして、そのフェラーリも
最近は、マクラーレンと同じように
エンジンのターボ化、さらには
ハイブリッド化が進んで、360モデナ時代ほどの
快音は、もはや過去のものになってしまいそう。
と思ったら!
最新型でミッドシップになった…
シボレー コルベットが、
さらなる高性能グレードを新設して
360モデナ時代のフェラーリと同じ
フラットプレーンクランクを使った
ノンターボ、ノンハイブリッドの
専用エンジンを積むんだそうですよ!
先行して、公式動画が公開されていますが
それはもう、素晴らしい音です…!
…ということで、FTOで
360モデナの排気音は、再現できませんでした。
でも、いろいろ調べたり
実際にやってみたりした結果、
満足の行く、FTOらしい排気音を
手に入れることができたと思っています。
ちなみに、FTOはV6エンジンなので
2気筒足りないですが、左右交互排気
(FTOの場合、エンジン搭載向きの関係上
前後交互排気)なので、排気干渉が起きず
音質がクリアなんですよ!
多分、どんな車にも
その車「らしさ」を表現する
カッコいい排気音が
あるんだと思います。
小型のスポーツカーには
歯切れの良い、快活な
排気音が似合うような気がします。
そして、スープラやGT-Rのような
大パワーがみなぎってる車には、
野太い音が似合いますね!
皆さんも、ご自分の車に
似合う排気音を探ってみては
いかがでしょうか。
時間もお金もかかったけれど、
とても面白かったですよ!